STトピック④ 失語症の方とのコミュニケーション

年末も近づいてきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。忙しくなる時期ですので、事故等、くれぐれもお気をつけください。
余談ですが、「忙しい」という字は、心を亡くす、と書きますね。忙しい状況をうまく表しているようにも思いますが、どんな状況でも、心は保っていたいものです。よく「お忙しいところ」とメールやお手紙で書きますが、「ご多用」なんて言葉に変えてみると、ちょっと印象が変わってくるかもしれませんね。

%e3%81%b5%e3%81%8f%e3%82%8d%e3%81%86%ef%bc%9f%ef%bc%9f%ef%bc%9fそれはさておき、前回は失語症の症状について簡単にお話ししましたが、いかがだったでしょうか?今回は失語症となった方とのコミュニケーションについてお話していこうと思います。伝わらないからって、大声で話しかけたりしていませんか?耳が遠いわけではないので、あまり効果はないですよ。

さて、失語症者は言葉を失うことで、家族、社会との間に大きな障壁(バリア)が生まれています。そのバリアを低くするために身近な人、社会全体ができることがあるはずです。失語症となってしまった患者様(ご家族)と、どのようにコミュニケーションを取っていけばいいのでしょうか。

失語症の方は、言葉そのものは充分に理解ができないかもしれません。でもその分、ほかの情報、つまり、表情やちょっとした身振りなどにとても敏感です。皆さんのちょっとした態度から、回復への意欲を削がれてしまうことがあります。また、言葉を無理に言わせようとしたり、誤りをいちいち指摘したりするのも逆効果。そういった細かいところはSTのリハビリに任せましょう。普段のコミュニケーションで大事なのは、とにかく伝わることです。
コミュニケーションには様々な方法があります。話し言葉だけじゃないですよ。描画、表情やジェスチャー、絵や文字を集めたコミュニケーションノートなどなど、挙げてみたらキリがありません。どんな手段でもいいので、失語症者の意図を汲み取ろうとする姿勢があるかどうかがとても大切になります。
では具体的にはどんなことに気を付ければいいのでしょう。

まずは、「ゆっくり」、そして「待つ」ことです。
失語症者は伝えたいことを頭の中で探すのにも、聞いたことを理解するのにも時間がかかります。その間に次の話をされてしまったら、皆さんどうですか?混乱してしまいますよね。ゆっくりと話しかけること、そして、ゆっくり答えを待ってあげること。これがとても重要になります。「待つ」って意外と難しいんですよね。待てているかな、急かしてないかな…、しっかり意識してみてください。

あとは、その方の症状によってです。例えば「聴く」障害の方にはどうでしょうか。「話す」のが苦手な方は?具体例で少しお話ししましょう。
短い文章で、文章の終わりで区切って間合いを取る、大切なところは強調する、相手の目を見て話しかける…。会話の基本的なマナーが特に大切です。また、話題を急に変えないことです。全部の言葉が理解できなくても、状況、話の流れから推測して、理解の障害を補っていることも多いので、急な話題転換は苦手なんです。それから、文字を同時にお見せすることも有効です。言葉では理解が難しくても、文字、特に漢字を一緒にお見せすると、効果が高いです。漢字って、文字そのものが意味を持っていることが多いので、意味をイメージしやすいんです。皆さんも知らない単語で、漢字だったらなんとなく意味が想像できること、ないですか?
また、選択肢を用意することも有効です。自分から言葉を発することが難しい場合、文字や絵で表現してもらうこともいいですし、こちらが選択肢を用意してお見せすると、少しはコミュニケーションのハードルが下がるんじゃないでしょうか。

どうでしょうか。色々と書いてみましたが、皆さんの意識と少しの工夫で、失語症の方のコミュニケーション能力が引き出せます。もし身近な方で失語症がみられたときは、この少しでもこのコラムを思い出していただければ幸いです。
それでは、また別のコラムでお会いしましょう!
ちょっと気が早いですが、皆様、よいお年を!

ソフィアメディ
教育・研修課:若尾